お誕生会

 

 ちべん保育園では毎月お誕生会を行います。お誕生会ではその月に生まれた子どもたちが、前に並び、みんなでお誕生日の歌を歌い祝うのです。歌の中には、お誕生日を祝ってもらう子どものお名前もでてきます。子どもたちが歌を歌う中、先生が手作りしたレイを一人ひとりにかけていきます。
 祝ってもらう子どもたちは、少し緊張気味ですが、とてもうれしそうです。そして、なによりも誇らしげな様子です。歌を歌ってお祝いをした後、「何歳になったのかな?」と聞いてみると、元気な声で「5歳だよ!」、「3歳になったよ!」と教えてくれます。お誕生会は子どもたちがとても、とても楽しみにしているイベントなのです。
 お誕生日を祝ってもらうのは、子どもたちだけでなく、大人も、そして、おじいちゃん、おばあちゃんになってもうれしいものです。なぜうれしいのでしょうか。それは、みんなが私のことを覚えてくれていて、大事にしてくれているという気持ちがお誕生会を通して伝わってくるからでしょう。だから何歳になってもうれしいのです。
 もし、お誕生日を忘れられるとどんな気持ちがするでしょう。きっと深い寂しさを味わうことでしょう。その人のことを覚えていることは、その人を大事にすることと同じなのです。反対に忘れてしまうことはその人を粗末にしてしまうことだといえるでしょう。粗末にされて喜ぶ人はいません。
 さて、故人を偲ぶ年忌も、その人を大事にするということでは、まったくお誕生日と同じなのです。年忌といえば親族が集まり、僧侶が経を唱えと、何かと堅苦しい雰囲気が嫌だとおっしゃる方もおられかもしれません。しかし、きっと故人は皆が集まる姿をご覧になり、私のことを覚えてくれていたのかとうれしく感じることでしょう。それは、お誕生会で子どもたちが、うれしそうに、そして誇らしげにしているのと同じなのです。年忌では故人の供養の為にもちろんお経を唱えることも大事ですが、故人のこと皆で語り、思い出してあげることが一番大事なのです。
 大事な人のお誕生日を忘れてしまう方はあまりいないでしょう。でも年忌となるとつい忘れてしまいやすいものです。ちょうどお彼岸の季節です。暑くもなく寒くもない一年で一番よい季節になりました。何かと慌ただしい日々を過ごしておられる方も、この機会にご先祖さまに心を向けてみましょう。

(令和4年3月彼岸会法要の法話より)

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